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針状ビームによる光学分解能の光音響顕微鏡法

Nature Photonics 17, 1 doi: 10.1038/s41566-022-01112-w

光学分解能の光音響顕微鏡法は、波長に依存する光吸収を細胞レベルで可視化できる。しかし、この手法は、光励起ビームを強く集束させるため被写界深度が限られている。従って、表面が平坦でない試料の高分解能画像や高品質の体積像を、z走査を行わずに取得することが困難である。今回我々は、この制約を克服するために、カスタマイズした回折光学素子によって被写界深度をレイリー波長の28倍まで拡張できる針状ビーム光音響顕微鏡法を提案する。こうした回折光学素子によって、ビーム直径が十分に維持され、軸上強度分布が一様でサイドローブを無視できる針状ビームが生成される。266 nmレーザーを用いてスライドガラスなしで新鮮臓器の組織学的イメージングを、532 nmレーザーを用いてin vivoでマウス脳血管系のイメージングを行うことによって、針状ビーム光音響顕微鏡法を用いる利点が実証された。今回の手法は、スライドガラスを用いない手術中病理イメージングやin vivo臓器レベルイメージングに新たな視点をもたらす。

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