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50 kg級超小型衛星を用いた地上–衛星間の量子限界通信

Nature Photonics 11, 8 doi: 10.1038/nphoton.2017.107

低コストの小型衛星が利用できるようになったことで、リモートセンシングや遠隔通信向けの衛星コンステレーションプログラムが、最近急速に発展し、宇宙における大容量レーザー通信の開発に弾みがついている。量子限界通信は、レーザー通信の性能向上を可能にするとともに、量子鍵配送と呼ばれる本質的にハッキング不可能な安全通信の必要条件となっている。今回我々は、低軌道超小型衛星(重量48 kg、50 cm角の立方体)と地上局の間の量子限界通信実験について報告する。この衛星から10 MHzの繰り返し率で非直交偏光状態が送信された。地上では、受信したパルス当たり約0.146光子の量子状態を後処理することによって、著しいドップラーシフトの下でも、クロックデータ再生と偏光の基準座標系の同期に成功した。この量子状態は、4つの光子計数器を備えた受信機によって5%未満の量子ビット誤り率で識別され、今回の技術が地上–衛星間のレーザー通信や量子鍵配送に適用できることが実証された。

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