Research Highlights

アクティブマター:旋回する粒子

Nature Nanotechnology 2019, 719 doi: 10.1038/s41565-019-0509-8

マイクロスケールやナノスケールの機能ロボットの開発では、混雑した環境を通るナビゲーションを容易にする移動運動を設計する新たな戦略が必要である。しかし、このタスクは難題だ。小さなスケールでは重力や熱的な力の働きが重要になり、自己推進粒子の運動が二次元に閉じ込められる傾向があるためである。今回Leeたちは、溶液中の電場で駆動されるまだらな微小球を用いて、らせん運動を実現してプログラムする方法を示している。

このポリスチレンの微小球は、単一の鏡映面を特徴とする三角形の金属パッチで覆われている。交流電場をかけると、誘起電荷電気泳動効果によってそれぞれの粒子の周りに非対称の流れが生じ、粒子が定常的にらせん運動する。粒子の速さと運動経路の半径は、金属パッチの形状と交流電場の強さを調整することでプログラムできる。直線軌道に沿って動く粒子と比べて、らせん軌道に沿って動く粒子は、多孔質構造の架橋セルロース膜を通る輸送効率が高いことが示されている。この方法は、三次元の複雑な環境を効率がよく制御できる方法で動くことができる、将来のマイクロロボットやナノロボットの設計に役立つ可能性がある。

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