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ナノマテリアル:ナノマテリアル

Nature Nanotechnology 2018, 918 doi: 10.1038/s41565-018-0264-2

ナノ構造化炭素には、曲率が正の球状フラーレンや曲率がゼロの二次元グラフェンなど、さまざまな曲率の形態がある。理論的に予測されている炭素の多くが、ガウス曲率が負の炭素同素体である、いわゆるシュワルツァイト(schwarzite)の形態になる。しかし、「ランダムシュワルツァイト」とゼオライト鋳型炭素(ZTC)は、シュワルツァイトに特性がよく似た物質であるが、実験的に単離されただけで、シュワルツァイトと見なされるかどうかはまだはっきりしていない。今回E Braunたちは、既知のゼオライトから合成できるZTCの完全なライブラリーが得られる理論的枠組みを提示し、ZTCがシュワルツァイトを具現化したものであることを確かめている。

著者たちは、三重周期極小曲面(TPMS)に似ているという、ZTCとシュワルツァイトの構造的類似性を見いだし利用している。さらに、専用に設計されたモンテカルロ法によって、ゼオライトの鋳型過程が綿密に模倣されている。その結果として、新たなZTCのサブセットが得られ、実験的に単離したZTCと一致した。従って、著者たちは、構造パラメーターが異なるにもかかわらず、多くのZTCが既知のTPMSと似ているので、こうした物質と仮説上の炭素シュワルツァイトが関連付けられ、望ましいシュワルツァイトを実験的に合成するためのゼオライト鋳型を見いだす方法が明らかになったと結論付けている。

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