Research Highlights

2Dペロブスカイト:垂直に並べて性能を高める

Nature Nanotechnology 2018, 518 doi: 10.1038/s41565-018-0151-x

二次元(2D)のルドルスデン–ポッパー型金属ハロゲン化物ペロブスカイト(MHP)は、よく知られているバルクのペロブスカイトの感湿性に対する有望な解決策になり得る。しかし、垂直構造のデバイスでは、2Dペロブスカイト層を隔てる大きなアンモニウムカチオンの絶縁性によって、効率の良い面外電荷輸送が妨げられている。今回、Chenたちは、垂直配向層の配列を制御することによって2D MHPの光電特性を高める方法を考案している。

著者たちは、溶液処理と低温アニーリングを含む2段階の製作手順を使って、さまざまな分子配向度の薄膜を実現した。そして、X線測定によって、2Dペロブスカイトの核形成と成長が前駆体の気液界面で生じていることが明らかになった。こうした配向は、ブチルアンモニウム分子の脂肪族鎖が溶液環境に残る傾向があることから生じると思われる。Chenたちは、結晶化条件を調節して、具体的には結晶化の前にアニーリング段階を加えることで、面外優先配向度が100%に近い垂直配向2Dペロブスカイト薄膜を得ることができた。こうした最適化した2D MHPで太陽電池を作ると、閉路電流が大きく増大し、ランダムに配向した結晶でできた太陽電池と比べて総合効率が向上した。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度