Research Highlights

2D材料:製造時のばらつき

Nature Nanotechnology 2018, 118 doi: 10.1038/s41565-017-0058-y

製造のばらつきの結果生じる半導体デバイスの物理複製困難関数(PUF)は、そのデバイスのデジタル指紋になる。シリコンベースのPUFによってCMOSに適合する解決策が得られるが、その製造には、コンピューターシステムのセキュリティーの脆弱性の増大に伴う広範な後処理が必要である。大規模製造時に核形成がばらつくナノ材料は、費用対効果の高い有望なセキュリティープリミティブになる可能性がある。A Alharbiたちは今回、数層の遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD) MoS2の標準的な化学蒸着によって得られた、複製できない暗号プリミティブについて報告している。

化学蒸着時に、連続的なMoS2単層の上に複数の層状アイランドが同時に形成される。著者たちは、表面被覆率の統計解析を用いて、スペックル分布の自然なばらつきを確かめた。次に、この薄膜の小領域を用いて、32 × 64の高密度アレイからなる物理的なセキュリティープリミティブを作製した。薄膜の厚さ分布が定まっておらず、MoS2の励起子発光が厚さに敏感であるため、光励起するとこのプリミティブは、アレイが独特な光応答を示し、2進暗号鍵になる。こうしたTMDベースの複製できないプリミティブは、容易に大規模製造に拡大できる。

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