Research Highlights

多孔性有機ネットワーク:固相合成

Nature Nanotechnology 2018, 118 doi: 10.1038/s41565-017-0056-0

表面積の大きいさまざまな多孔性有機ネットワーク(PON)が液相で合成されており、不均一触媒作用、ガスの捕獲や貯蔵、エネルギー貯蔵、オプトエレクトロニクスにおけるその能力が実証されている。しかし、固相反応ではPONは得られていない。今回、蔚山科学技術大学校のJ-B Baekたちは、有機単結晶の固相爆発によって3D PONを形成したことを報告している。

このPONの主要構成要素である2,3,6,7,14,15-ヘキサエチニル-9,10-ジヒドロ-9,10-[1,2] ベンゼノアントラセン(HEA)にはエンジイン基が3つ含まれているため、バーグマン反応(環化芳香族化)によって自己重合して3D ポリHEAを生成することが可能になる。しかし、通常は、この反応が起こるには、オクタカルボニル二コバルト触媒と共に、液相の水素ドナーが存在する必要がある。今回Baekたちは、バルク結晶をヒーティングガンによって加熱した際の爆発的な固相反応によって、HEA、アセトン分子2つ、水分子1つからなるHEA単結晶から、3D PONを0.11秒で生成できることを実証している。プライマー分子(アセトンと水)の支配的な影響が認められたので、著者たちは、熱が加えられた時にプライマー分子によって運動エネルギーが蓄積され得ると提案している。プライマー分子が急激に排出されると、結晶格子が乱され、エンジイン基が互いに近づいて、環化芳香族化によってポリHEAが形成される。合成されたポリHEAは、漁網型の形態を示し、空気中での熱安定性が高い。さらに、電子の豊富な空洞が多いため、優れたCO2吸着能力を示す。

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