Research Highlights

水の酸化触媒:階層性とぬれ性

Nature Nanotechnology 2017, 417 doi: 10.1038/nnano.2017.78

非多孔性の非貴金属NiFe水酸化物触媒は、安価で触媒効率が高いため、酸素生成反応(OER)向けにかなり注目されている。今回、LiとZhaoは、階層構造を維持しながら、NiFe水酸化物ナノシートのぬれ性を高めることに成功した。

まず、電着によって、炭素繊維紙の基板の上にNiFe水酸化物を形成した。次に、NaH2PO2・H2Oの分解によって放出されたホスフィン(PH3)とH2O蒸気をこの水酸化物と反応させて、その一部をリン酸塩に変換した。形成されたNiFeとNiFeリン酸塩(Pi)がOERに相乗的に働いて、290 mVというわずかな過電圧で電流密度10 mA cm-2を、340 mVという低い過電圧で高い電流密度300 mA cm-2を示すとともに、個々のNiFeやNi:Piと比べてはるかに小さいターフェル勾配を示した。相乗的なNiFe/NiFe:Pi触媒におけるOER活性の向上の説明には、次の3つが考えられる。1つは、大きく向上した表面のぬれ性に起因して水の吸着がより容易になった可能性。もう1つは、リン酸化によって電気化学的表面積が大きくなったこと。最後は、よく管理された階層的な3D多孔質構造における物質輸送と電荷移動の増強に起因している可能性である。さらに、この電極触媒が、長時間安定で、1,000サイクル後でも電流密度が低下したり表面の形態が劣化したりしないことも実証されている。

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