Research Highlights

超分子化学:まだジョブプロットを使うのか

Nature Nanotechnology 2016, 416 doi: 10.1038/nnano.2016.57

ジョブプロットは、ホスト–ゲスト錯体の相互作用とその化学量論を調べるのにしばしば利用されている。しかし、1920年代にポール・ジョブがこの方法を初めて報告した時には、強いイオン会合に用いられたのであって、超分子系を支配する弱い非共有結合性相互作用には用いられなかった。ポーランド科学アカデミーのJ Jurczakたちは今回、多くの場合、ジョブの方法は誤った結果をもたらすことを示している。これは、低濃度で作用するときや、結同相互作用が弱く、結合モードが2つ以上の系を調べる場合に特に当てはまり、さらに化学量論が1:1より高い場合でも当てはまる。不正確な結合モデルを用いると、意味のない会合定数や関連する他のデータが得られることになる。

Jurczakたちは、ジョブプロットに代わる方法として、実験による会合データをフィッティングする際には、残差分布を解析して結合モードを評価することを提案している。正しいモデルを用いれば、残差はランダムに分布する。この方法は、ジョブプロットを用いる場合よりもずっと敏感で、標準的なデータ解析ソフトウェアを用いるいかなる滴定にも組み込むことができる。こうしたやり方を採用すれば、検出技術や認識技術におけるデータなど結合性相互作用のずっと正確なデータを報告でき、より複雑な系の理解を深めることができる。

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