Research Highlights

磁壁:スピン波で磁壁を動かす

Nature Nanotechnology 2015, 415 doi: 10.1038/nnano.2015.84

ナノ構造体における磁壁の制御された動きは、論理操作や情報記憶向けのスピントロニクスデバイスを開発するための有望な手段となると考えられている。磁場からスピン流までさまざまな駆動機構によって、磁壁の動きに関与するトルクを発生させることができる。結晶中の電子スピンの集団励起であるスピン波は、スピン流を運び、磁壁を横切ると、角運動量を局所的な磁気モーメントに移して磁壁を動かす。今回、サウサンプトン大学のH Fangohrたちは、特定の磁気的性質を持つ物質では、スピン波は線型運動量も磁壁と交換でき、その結果磁壁の速度が10倍増加することを示している。

こうした結果をもたらした重要な要因は、ジャロシンスキー–守谷相互作用と容易面の磁気異方性である。Fangohrたちは、バルクのDMIを持つ材料であるFeGeに特有の材料パラメーターを用いて、マイクロマグネティックシミュレーションと解析モデルによって、ナノワイヤーの磁壁ダイナミクスを調べた。その結果、スピン波の周波数に依存して秒速数メートルの速度を実現でき、24 GHzで速度が最大になることが分かった。

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