Research Highlights

超分子化学:動くポルフィリン

Nature Nanotechnology 2015, 415 doi: 10.1038/nnano.2015.82

テンプレート分子を用いることで、共有結合の形成を空間的に制御できる。例えば、テンプレートを利用する方法を用いて、ポルフィリン二量体サブユニットを出発点として大きなポルフィリン系大員環が形成されている。こうした手法では、テンプレートの認識部位が飽和するまで、最初のサブユニットが重合する。今回、オックスフォード大学のH Andersonたちは、2つの6腕星形分子からなり、1つは8-ポルフィリン大員環を形成するテンプレートとなり、もう1つは10-ポルフィリン大員環を形成するテンプレートとなる、2種の超分子を作った。このテンプレートの腕の末端には4-ピリジル基が付いており、このピリジル基がポルフィリンの亜鉛中心と結合して、2種のテンプレートの全周囲でポルフィリン二量体の重合を導く。それぞれのテンプレートの腕の1つは、ポルフィリンとつながっておらず、得られた2:1錯体の中心にある。

Andersonたちは、構造ダイナミクスによって位置を交換する際の特定の水素原子を精査する交換NMR分光法を用いて、この錯体のダイナミクスを調べた。その結果、テンプレートリングとポルフィリン大員環の両方が段階的に60°回転することが分かった。彼らは、2つのテンプレートの解放腕に結合するパラジウム化合物を用いる実験と6腕テンプレートを5腕テンプレートで置き換える実験という、一連の対照実験によって、この機構を裏付けている。どちらの場合も、得られた錯体は静止していた。

Andersonたちが報告したこの分子内の段階的回転は、無限軌道の動作原理によく似ている。

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