Research Highlights

ナノ結晶:神経の働きを捉える

Nature Nanotechnology 2015, 1115 doi: 10.1038/nnano.2015.270

半導体ナノ結晶を用いて発火時の発光をモニターすることで、ニューロンの電気的活動を研究できる可能性がある。この方法の基本原理は、ナノ結晶の電子と正孔の空間的分離に電場が影響を及ぼす(量子閉じ込めシュタルク効果と呼ばれる現象)ため、電子と正孔の再結合に要する時間が変化して、発光強度が変化するというものである。しかし、この原理を具体化するには、発光変動の正確な機構、中でもこうした変動がニューロンの発火と同程度の時間スケールで生じるかを解明することが不可欠である。米国海軍研究所のJ Delehantyたちは今回、ナノ結晶上のニューロンの活動を実験的にシミュレートすることによって、こうした問題を調べた。

Delehantyたちは、ナノ結晶の膜に制御された方法で電場を印加できるデバイスを作った。その結果、印加電場を大きくすると、発光強度が低下した。しかし、発光の時間変動はほとんど変化せず、従って電子と正孔の再結合速度はほとんど影響を受けなかった。この結果は、シュタルク効果ではなく、電場によって生じたナノ結晶の帯電によって発光強度が低下したことを意味していると、Delehantyたちは考えている。実際、帯電した結晶では、主にオージェ効果と呼ばれる無放射現象を通して、電子と正孔の再結合が起こることが分かっている。

Delehantyたちは、マウスの皮質ニューロンから今回の実験とは別に記録された電圧パルスをこのデバイスに印加して、現実的なニューロンの発火もシミュレートした。発光強度は電圧プロファイルに正確に従っており、発光の全変動は最大5%であった。

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