Research Highlights

量子デバイス:異常が説明された

Nature Nanotechnology 2014, 814 doi: 10.1038/nnano.2014.173

量子ポイントコンタクトは、静電ゲーティングによって二次元(2D)電子ガスに形成されるくびれである。1対のスプリットゲートに負電圧をかけると、その下の電子ガスが枯渇して、キャリアが(準)1Dチャネルに閉じ込められる。このチャネルのコンダクタンスは、量子G0=2e2/hの倍数に量子化される。ここで、eは電子の電荷、hはプランク定数である。しかし、この輸送特性には異常があり、その起源はまだ議論の的となっている。この異常とは、コンダクタンス0.7G0で観測されるある特徴と、微分コンダクタンスに観測されるゼロバイアスピークだ。こうした異常を説明するために、さまざまなモデルが提案されている。今回、グルノーブル・アルプス大学とネール研究所(いずれもフランス)などのH Sellierたちは、チャネル内における局在電荷の存在で、異常を両方とも説明できることを示している。

Sellierたちは、顕微鏡のティップを用いて、ポイントコンタクトの静電ポテンシャルを局所的に変え、その輸送特性を温度20 mKで調べた。ティップと試料の間隔を変化させると、0.7異常が振動的に現れ、同時にゼロバイアスピークが分裂するのが観測された。Sellierたちは、こうした結果を1Dウィグナー結晶と呼ばれる局在電子の鎖の形成で説明している。ウィグナー結晶は、電子の密度が十分低い場合に、電子間のクーロン相互作用の結果として形成される。鎖の電子数が奇数か偶数かで、2つの異なるタイプの近藤効果が生じ、それらの特徴は走査型ゲート顕微鏡測定で見いだされた。

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