Research Highlights

計測:信頼できる単一電子源

Nature Nanotechnology 2014, 714 doi: 10.1038/nnano.2014.143

普遍定数を単位として電気的測定の単位を定義すれば、精密な標準を確立できる。ボルトの単位はジョセフソン効果を、オームの単位は量子ホール効果を利用して、素電荷eとプランク定数で定義できる。しかし、アンペアに対する同等でロバストな標準はまだない。提案の1つは、単一電子ポンプ(特定の周波数fで電子を1つずつ移送する量子デバイス)を用いて、素電荷と周波数の積(ef)で電流標準を定義するというものである。しかし、こうしたデバイスには、トンネル領域で動作するため、その確率的性質によってef値から測定される電流がゆらぐという欠点がある。ドイツ物理工学研究所のL FrickeとF Hohlsたちは今回、この問題を克服できるデバイス構成を実験的に実証している。

Frickeたちは、単一電子ポンプ3つと、ポンプ間の電子の流れをモニターする電荷検出器2つを直列に接続したものを実装した。特定の順序で各ポンプに電圧パルスを印加することで、単一電子が移送される。その後、続けて印加したパルスによって、ポンピングエラー、つまりポンプが電子を移送できなかった事象を検出できる。こうしたエラーを知ることで、efから電流のゆらぎを測定でき、最終的には、独立した電子ポンプの場合と比べて10倍向上できた。

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