Editorial

女性の生涯にわたる健康へのアプローチ

Nature Medicine 30, 1 doi: 10.1038/s41591-023-02777-8

Nature Medicineは、女性の健康のための新シリーズを開始する。人類の半分は女性であるのに、医学では女性は非典型的な集団として扱われることが多い。女性の主な死因が心血管疾患とがんであるにもかかわらず、女性の健康の研究といえば、性と生殖に関するものばかりである。性差、あるいは差別や男性との不平等な力関係といった重要な社会文化的問題についてもほとんど研究されてこなかった。不安障害、頭痛、片頭痛などは女性に多い疾患であり、更年期障害や子宮内膜症に罹患する女性も多いが、研究資金不足は深刻である。女性は病気にかかっても診断が遅れることが多く、パートナーからの暴力がうつ病の生涯リスクを高めるといった問題もある。医学研究や保健・医療分野のリーダーになる女性の割合が低いことも問題である。女性の健康における世界的な不平等をなくす一助として、本シリーズを女性および女児の健康を改善する方法についての議論の出発点としたい。

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