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次世代型手術ロボットが登場しつつあるが、人間の手による手術よりも優れているのか?

Nature Medicine 30, 1 doi: 10.1038/s41591-023-02740-7

高額な費用と科学的根拠の不足によって、ロボット手術の導入は限定的なものとなっているが、新たな用途と有効性の検証によって手術ロボットの可能性は広かるかもしれない。ロボットアームが初めて外科手術に使用されたのは1980年代半ばのことで、本格的に普及しだしたのは1990年代後半である。だが現状では、数十年にわたる応用と改良が重ねられたにもかかわらず、ロボット手術が本当により良い手術なのかという疑問は消えない。現在、狭い視野・空間で視覚化が難しい部位の手術では、ロボットは日常的に使用されているが、従来の外科医が行う低侵襲手術よりもロボット手術の方が優れているという確証は得られていない。ロボット手術には費用だけでなく、準備に要する時間も大きい。人間の手のような触覚フィードバックもない。一方で、手術以外の分野では、例えば介護やリハビリテーションなどにおけるロボットの有効性には大きな期待が寄せられている。手術ロボットについても、人間の器用さを真似る方向ではなく、人間には不可能な新しい処置・手技が行える性能を人工知能(AI)も活用して開拓していくことが目指されるのかもしれない。

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