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治療:化学療法抵抗性KRASG12C変異型大腸がんにおけるパニツムマブとソトラシブの併用 ─ 第1b相試験

Nature Medicine 30, 1 doi: 10.1038/s41591-023-02717-6

RAS変異陽性転移性大腸がんに対する現在の三次治療以降の選択肢は、有効性が限定的である。治療開始時の仮説として、KRAS(Kirsten rat sarcoma viral oncogene homolog)-G12C阻害剤であるソトラシブと上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤であるパニツムマブの併用は、治療によって誘導される抵抗性を克服できるとした。今回の第1b相試験のサブスタディーにおけるCodeBreaK 101マスタープロトコルでは、化学療法抵抗性のKRASG12C変異陽性転移性大腸がん患者でソトラシブとパニツムマブの併用が評価された。本論文では、用量探索コホートと用量拡大コホートの結果を報告する。患者はソトラシブ(1日1回960 mg)とパニツムマブ(2週に1回6 mg kg−1)の併用療法を受けた。主要評価項目は、安全性と忍容性であった。副次評価項目は、有効性と薬物動態であった。ベースラインでの探索的バイオマーカーが評価された。48人の患者(用量探索コホートn = 8、用量拡大コホートn = 40)が治療された。いずれかのグレードの治療関連有害事象が45人(94%)の患者で発生し、グレード3以上の治療関連有害事象は13人(27%)の患者で発生した。用量拡大コホートでは、確定された客観的奏効率は30.0%(95%信頼区間〔CI〕16.6%、46.5%)であった。無増悪生存期間の中央値は5.7カ月(95%CI 4.2カ月、7.7カ月)であった。全生存期間の中央値は15.2カ月(95%CI 12.5カ月、推定不可能)であった。治療開始時に共に広く見られたゲノム変化には、APC(84%)、TP53(74%)、SMAD4(33%)、PIK3CA(28%)、EGFR(26%)が含まれた。ソトラシブとパニツムマブの併用は許容可能な安全性を示し、化学療法抵抗性のKRASG12C変異陽性転移性大腸がんにおける有効性が期待できる。ClinicalTrials.gov登録番号:NCT04185883。

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