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大腸がん:RAS変異型転移性大腸がんにおける一次治療としてのデュルバルマブ、トレメリムマブおよび化学療法の併用 ─ 第1b/2相試験

Nature Medicine 29, 8 doi: 10.1038/s41591-023-02497-z

マイクロサテライト不安定性を有する転移性の大腸がん(CRC)患者には、免疫チェックポイント阻害剤が有益だが、マイクロサテライト安定性(MSS)腫瘍に対しては、標的治療と化学療法の併用がいまだに唯一の治療選択肢である。単群第1b/2相MEDITREME試験では、RAS変異型切除不能転移性CRC患者57人において、デュルバルマブおよびトレメリムマブとmFOLFOX6化学療法との併用を一次治療として用い、その安全性と有効性の評価を行った。第1b相試験の主要評価項目は安全性であり、安全性の問題は観察されなかった。第2相試験の主要評価項目はMSS腫瘍患者での3カ月無増悪生存率(PFS)であり、3カ月PFSは90.7%(95%信頼区間〔CI〕:79.2~96%)として達成された。副次評価項目に関しては、MSS腫瘍患者での奏効率は64.5%、PFSの中央値は8.2カ月(95%CI:5.9~8.6)であり、全生存率は達成されなかった。応答者では腫瘍変異量は高く、ゲノム不安定性は低かった。統合的トランスクリプトーム解析では、免疫シグネチャーの高さと上皮間葉転換の低さが、より良好な転帰と関連していることが明らかとなった。免疫モニタリングでは、ネオアンチゲンや、NY-ESO1およびTERTに対する血中の腫瘍特異的T細胞応答の誘導が、より良いPFSと関連していることが示された。デュルバルマブとトレメリムマブおよびmFOLFOX6の併用は、忍容性があり、MSS mCRCでの臨床活性が期待される。Clinicaltrials.gov登録番号:NCT03202758。

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