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神経疾患:臨床的障害のない人におけるレビー小体病変の認知機能への影響

Nature Medicine 29, 8 doi: 10.1038/s41591-023-02450-0

αシヌクレイン凝集体は、レビー小体(LB)病の病変を構成する。前臨床期(症状出現前)におけるLB病変の影響については、単独の病変としても、アルツハイマー病(AD)病変(βアミロイド〔Aβ〕とタウ)との併存としても、ほとんど明らかにされていない。我々は、BioFINDER研究から抽出した、認知障害や神経学的障害のない参加者1182人(8%がLB陽性、26%がAβ陽性〔そのうち13%がLB陽性〕、16%がタウ陽性)で、脳脊髄液αシヌクレインシード増幅アッセイを用いてLB病変の影響について調べた。Aβ陽性の場合にはLB陽性がより高頻度に認められたが、タウ陽性の場合にはそうではなかった。LB病変は、横断的かつ縦断的な包括的認知機能と記憶の測定、および縦断的な注意・実行機能の測定に対して、独立に負の影響を及ぼした。タウは認知機能に対して同程度の影響を示したが、Aβの影響はそれほど顕著ではなかった。LB病変とAD(Aβとタウ)病変の両方を有する参加者は、LB病変あるいはAD病変を単独で有する参加者よりも認知機能の低下が早かった。LB病変は嗅覚低下と関連していたが、AD病変ではそのような関連は見られなかった。LB陽性者のみが10年間で臨床的なLB病へと進行した。前臨床期ADの10%を超える人にLB病変が併存することから、これらの結果は個別化予後、前臨床期LB病試験での募集や評価項目の選択のみならず、早期AD試験の設計にも重要である。

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