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パーキンソン病:ウエアラブルデバイスによる運動追跡データを用いて臨床診断の数年前にパーキンソン病を識別する

Nature Medicine 29, 8 doi: 10.1038/s41591-023-02440-2

パーキンソン病は、潜伏期間の長い進行性の神経変性運動障害であり、今のところ疾患修飾療法は存在しない。また、神経保護療法開発の取り組みを大きく転換し得るような信頼性のある予測バイオマーカーも見つかっていない。今回我々は、英国バイオバンクを利用して、前駆症状期のパーキンソン病を一般集団から発見する際の加速度測定による予測値について調べ、さらに、遺伝学、生活習慣、血液生化学、前駆症状期の症状データに基づいたモデルと、この加速度測定によるデジタルバイオマーカーを比較した。加速度測定データを用いて訓練した機械学習モデルは、臨床的にパーキンソン病と診断された患者(n = 153)(PR曲線下面積〔AUPRC〕0.14 ± 0.04)と、診断前の最大7年間の前駆症状期パーキンソン病(n = 113)(AUPRC 0.07 ± 0.03)の両方を、一般集団(n = 33,009)から見分けることができ、他のいずれの方法で調べた場合よりもよい試験成績を達成した(遺伝学:AUPRC = 0.01 ± 0.00、P = 2.2 × 10−3。生活習慣:AUPRC = 0.03 ± 0.04、P = 2.5 × 10−3。血液生化学:AUPRC = 0.01 ± 0.00、P = 4.1 × 10−3。前駆症状期の症状:AUPRC = 0.01 ± 0.00、P = 3.6 × 10−3)。従って、加速度測定は、パーキンソン病の発症リスクがある人を見つけ出し、神経保護療法の臨床試験参加者を特定する上で、重要かつ低コストのスクリーニングツールの候補である。

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