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腎移植:心停止後臓器提供の腎移植における正常体温機械灌流と単純冷保存の比較 ─ 無作為化対照試験

Nature Medicine 29, 6 doi: 10.1038/s41591-023-02376-7

腎移植は終末期腎疾患に対する最適な治療法であるが、適切な臓器提供者の不足により、依然として限定的である。移植率を高めるために心停止後臓器提供(DCD)者からの腎臓が使用されてきたが、これらの臓器は移植前の保存期間中に冷虚血障害になりやすく、その臨床的な結果として移植腎機能発現遅延(DGF)を起こす割合が高くなる。正常体温機械灌流(NMP)は生理的条件に近い状態を維持するために、酸素化された赤血球をベースとする加温した潅水を腎臓に循環させる新しい技術である。今回我々は、従来の単純冷保存(SCS)のみ、あるいはSCSに1時間NMPを追加した後のDCD腎移植の結果を比較するために、無作為化対照試験を行った。合計で338個の腎臓をSCS(n = 168)とNMP(n = 170)に無作為に割り付け、277個の腎臓が最終的な治療企図解析に進められた。主要評価項目はDGFで、移植後最初の7日以内に透析の必要性として定義した。DGFの割合は、SCS腎では142個中83個(58.5%)だったのに対し、NMP腎では135個中82個(60.7%)であった(補正オッズ比〔95%信頼区間〕1.13(0.69~1.84)、P = 0.624)。NMPは移植血栓症や感染合併症の他、いかなる有害事象の増加とも関連が見られなかった。なお、SCSの最後に1時間NMPを行っても、DCD腎でのDGFの割合は低下しなかった。NMPは実行可能であり、安全で臨床応用に適していることが示された。試験登録番号:ISRCTN15821205。

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