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結核:結核に対するコミュニティーベースの積極的症例検索として2つの診断介入パッケージを比較 ― 非盲検無作為化対照試験

Nature Medicine 29, 4 doi: 10.1038/s41591-023-02247-1

活動性結核患者の5人に2人は診断も報告もされていない。従って、コミュニティーベースの積極的症例検索の推進を早急に実施する必要がある。しかし、従来用いられているポイントオブケア(POC)の塗抹顕微鏡検査と比較して、コミュニティーレベルで配備されたPOCの携帯用バッテリー駆動型分子診断ツールが、治療開始までの期間を短縮できるかどうか、その結果として伝播を抑えられるかどうかは不明である。この問題を明らかにするために、我々は南アフリカ共和国ケープタウン市の周辺部の非公式居住区で非盲検無作為化対照試験を行った。具体的には、コミュニティーベースの拡張可能な移動診療所で、5274人を対象に、結核症状のスクリーニングを行った。そのうちのHIV感染または結核症状を呈する584人は、診断のためのターゲットスクリーニングを受けた後、同日の塗抹顕微鏡検査(n = 296)または現場でのDNAによる分子診断(n = 288、GeneXpert)に1:1に無作為化された。主要評価項目は、両群間での結核治療開始までの期間の比較だった。副次評価項目には、実現可能性と感染の可能性例の検出が含まれる。ターゲットスクリーニングを受けた被験者のうち9.9%(584人中58人)は、培養によって結核が確認された。治療開始までの期間は、塗抹顕微鏡検査群よりもXpert群が有意に短かった(8日対41日、P = 0.002)。ただし、全体としては、Xpert群は培養で陽性だった結核患者の52%しか検出しなかった。しかしXpert群では、塗抹顕微鏡検査群と比較して、感染の可能性例がほぼ全て検出されたことは重要である(94.1%対23.5%、P = <0.001)。Xpert群では、塗抹顕微鏡検査群と比較して、感染の可能性例での治療開始までの期間の中央値が短いことと関連があり(7日対24日、P = 0.02)、また、60日の時点で治療を受けている患者の割合を比べると、感染患者群での割合が、非感染の可能性例群での割合よりも大きかった(76.5%対38.2%、P < 0.01)。全体として、60日の時点で治療を受けている患者の割合を比べると、POCのXpert陽性被験者での割合が、培養陽性の全被験者での割合よりも大きかった(100%対46.5%、P < 0.01)。これらの知見は、受動的症例検索を行う従来の公衆衛生戦略パラダイムに異議を投げかけ、コミュニティーを重視した伝播遮断戦略としてのケアと連携した、携帯型のDNAに基づく診断の実施を訴えるものである。本研究は、南アフリカ共和国国立臨床試験レジストリ(application ID4367; DOH-27-0317-5367)およびClinicalTrials.gov(NCT03168945)に登録されている。

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