Review Article

肝疾患:NASH治療薬開発の際の難問と好機

Nature Medicine 29, 3 doi: 10.1038/s41591-023-02242-6

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)や、そのより重症なタイプである非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は世界中で増加し続けている疾患で、治療法が緊急に求められているが、今のところは見つかっておらず、これまでに承認された薬剤はない。現在のところ、肝生検の組織病理学的評価は薬剤の条件付き承認のための主要評価項目として義務付けられている。しかし、この要求事項はこの疾患分野での主要な難題の1つとなっている。それは、この侵襲性のある組織学的評価にはかなりのばらつきがあり、これが臨床試験での著しく高いスクリーニング失敗率につながっているからである。過去数十年間に、肝蔵の組織学的性質と最終的な転帰を関連付けて、疾患重症度や長期的な変化を非侵襲的に評価する非侵襲性の検査が複数開発されてきた。しかし、規制当局による承認を確実に得るには、第3相試験での組織学的評価項目の代替としてのさらなるデータが必要である。本稿では、NAFLD–NASH臨床試験での薬剤開発や、この分野を前進させるための緩和戦略候補などの難問について論じる。

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