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がん:存続する遺伝子変異量が持続的な抗腫瘍免疫応答を促進する

Nature Medicine 29, 2 doi: 10.1038/s41591-022-02163-w

腫瘍の遺伝子変異量は腫瘍の異質性の不完全な代理指標であり、従って免疫療法での応答の予測では、臨床的に常に役立つわけではない。今回我々は、31の腫瘍タイプ(n = 9242)、それに非小細胞肺がん、黒色腫、中皮腫および頭頸部がんの患者からなる8つの免疫療法後コホート(n = 524)で、がん横断的解析で喪失が起こる可能性の低いゲノム領域内の変異を評価した。その結果、単一コピー領域内の変異と、細胞あたり複数個のコピーに存在する変異が、存続する腫瘍遺伝子変異量(pTMB)を構成していて、これが免疫チェックポイント阻害に対する治療奏効と関連することが明らかになった。存続する変異は、免疫療法による選択圧下での腫瘍進化という状況中で保持されており、pTMB含量の多い腫瘍では、腫瘍微小環境の炎症性がより高いという特徴が見られた。pTMBはがん細胞が乗り越えられない進化的ボトルネックとなるため、免疫療法下でも持続する免疫学的腫瘍制御を進めるのだろう。

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