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がん免疫細胞療法:消化管がんでのclaudin18.2特異的なCAR T細胞:第1相試験中間結果

Nature Medicine 28, 6 doi: 10.1038/s41591-022-01800-8

血液悪性腫瘍での成功にもかかわらず、固形腫瘍ではキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法の治療有効性が見られる範囲は拡大していない。claudin18.2(CLDN18.2)を標的とするCAR T細胞は、前臨床研究では胃がん(GC)に対して有望な効果を示した。本論文では、CLDN18.2を標的とするCAR T細胞(CT041)について、治療経験のあるCLDN18.2陽性消化器系がん患者で行われている現在進行中の非盲検単群第1相臨床試験の中間結果を報告する(NCT03874897)。主要評価項目は、CT041注入後の安全性で、副次評価項目にはCT041の有効性、薬物動態および免疫原性が含まれていた。37人の患者に対して、3種類のCT041用量(細胞数が2.5 × 108、3.75 × 108もしくは5.0 × 108)のうちの1つが投与された。全ての患者でグレード3以上の血液毒性が生じた。患者の94.6%でグレード1あるいは2のサイトカイン放出症候群(CRS)が起こった。グレード3以上のCRS、あるいは神経毒性、治療関連死、用量制限毒性は報告されなかった。全奏効率(ORR)は48.6%、疾患制御率(DCR)は73.0%に達した。6か月間の持続的奏効率は44.8%であった。GC患者では、ORRは57.1%、DCRは75.0%に達し、6か月の時点での全生存率は81.2%であった。初期のこのような結果から、CT041は複数の治療歴を持つCLDN18.2陽性消化器系がんの患者、特にGC患者に対して期待できる有効性があり、許容し得る安全性プロファイルを持つと考えられる。

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