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遠隔モニタリング:経口抗がん剤による治療を受けている患者で通常のケアにデジタル遠隔モニタリングを加えた場合と通常のケアのみの場合の比較:無作為化第3相CAPRI試験

Nature Medicine 28, 6 doi: 10.1038/s41591-022-01788-1

経口抗がん剤の投与を受けているがん患者のケアを個別化する戦略は、治療のアドヒアランス(遵守)と患者のケアを改善する機会をもたらす。しかし、こうした状況下でのデジタル遠隔モニタリングシステムの影響は評価されていない。我々は今回、転移がん患者への治療の実施にナースナビゲーター主導プログラムが及ぼす影響を評価した第3相試験(CAPRI;NCT02828462)の結果を報告する。承認された経口抗がん剤を投与されている患者は、通常のケアにナースナビゲーター主導のフォローアップシステムとウェブポータル-スマートフォンアプリケーションの組み合わせを加えた介入、もしくは担当のがん専門医の判断による通常の症状モニタリングに無作為的に分けられ(1:1)、試験は6か月間にわたって行われた。主要評価項目には投与量の最適化が含まれていた。副次評価項目は、グレード3以上の毒性、ペイシェント・エクスペリエンス、入院患者の割合とその期間、奏効と生存、生活の質であった。評価可能な559人の患者では、相対用量強度は実験群の方が高かった(93.4%対89.4%、P = 0.04)。この介入によって、ペイシェント・エクスペリエンスの改善〔PACIC(Patient Assessment of Chronic Illness Care)スコア、2.94対2.67、P = 0.01〕、入院日数の減少(2.82日対4.44日、P = 0.02)、グレード3以上の治療関連毒性の低下(27.6%対36.9%、P = 0.02)が見られた。これらの知見は、症状と治療の遠隔モニタリングによる患者中心のケアが患者の転帰とペイシェント・エクスペリエンスを改善する可能性を示している。

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