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COVID-19:mRNA-1273ブースター接種後のSARS-CoV-2に対する免疫応答 ─ 非盲検第2相試験

Nature Medicine 28, 5 doi: 10.1038/s41591-022-01739-w

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の免疫獲得者でのブレイクスルー感染が増加していることで、抗体レベルの低下や新たな変異株と闘うためのブースターワクチン接種の必要性が関心を集めている。今回我々は、6~8か月前に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンであるmRNA-1273の最初の2回の投与(50 μgまたは100 μg)を受けた成人被験者344人に対して、mRNA-1273の50 μgのブースター接種の安全性と免疫原性を評価した、非盲検非無作為化第2相試験のパートBの結果を報告する(NCT04405076)。ブースター接種後1か月の時点で、SARS-CoV-2野生株に対する中和抗体(nAb)の力価は、最初の投与シリーズの2回目の注射後28日目の力価の1.7倍〔95%信頼区間(CI): 1.5, 1.9〕の高さだった。これは事前に指定した非劣性基準(主要評価項目である免疫原性)を満たし、記憶B細胞応答の存在を示唆している可能性がある。ブースター接種から1か月後のデルタ変異株(B.1.617.2)に対するnAb力価(探索的目標)は、最初の投与シリーズの2回目の注射後28日目の力価の2.1倍(95% CI:1.8, 2.4)の高さだった。ブースター接種後28日目の抗体応答率〔95%CI(ベースラインから4倍上昇)〕は100%(98.7, 100.0)だったのに対して、最初の投与シリーズでは98.3%(96.0, 99.4)だった。第3相COVE試験では、2回目投与後28日目よりもブースター投与後28日目の抗体力価が高かったが、これはELISAやMSD(Meso Scale Discovery)マルチプレックスで測定された抗スパイクIgG抗体に対する2つのアッセイでも観察された。ブースター投与後の局所性や全身性の自発的な有害反応の頻度は、mRNA-1273(50 μgまたは100 μg)の最初の連続投与2回目の後の頻度と同程度であり、非自発的な有害事象では新しいシグナルは観察されなかった。また、1か月の追跡期間中に重篤な有害事象は報告されなかった。以上の結果から、最初の2回投与完了後6か月以降のmRNA-1273のブースター注射は安全であり、生じたnAb力価は、最初の2回のワクチン接種後に検出される最大力価よりも統計的に有意に高いことが明らかになった。これはmRNA-1273のブースター接種は、SARS-CoV-2による感染や疾患に対するワクチンの有効性を上昇させる可能性を示唆している。

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