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がん治療:幹細胞の構造は骨髄異形成症候群の進行を促進し、ベネトクラクスを用いた治療への応答を予測する

Nature Medicine 28, 3 doi: 10.1038/s41591-022-01696-4

骨髄異形成症候群(MDS)は、造血幹細胞(HSC)の不均一な腫瘍性疾患である。MDS患者に対する現在の標準治療は、メチル化阻害剤(HMA)を用いた治療だが、MDS患者の約50%でHMA療法はうまくいかず、急性骨髄性白血病へと進行し、承認された二次治療の選択肢がないため予後不良に直面することになる。この疾患で進行の種となるのはがん幹細胞であるため、我々は疾患の進行を促すMDS HSCの生物学的特性を調べて、治療に使える可能性のある脆弱性の探索を試みた。大規模な患者コホートでのHSCと前駆細胞の統合的な分子プロファイリングにより、2つの異なる分化状態にあるMDS HSCが見つかった。これらは疾患の臨床経過を通じて維持され、疾患進行時に増殖し、抗アポトーシス調節因子のBCL-2、あるいはNF-κB(nuclear factor-kappa B)が仲介する生存経路の繰り返される活性化に依存していた。実験系では、これらの経路を薬理学的に阻害するとMDS HSCが枯渇し、腫瘍量が減少した。また、HMAによる一次治療が奏功しなかった後に進行し、HSCのBCL-2発現が上昇したMDS患者は、臨床条件でベネトクラクスを用いた治療に対する臨床応答が改善した。まとめると、我々の研究によって、MDSでのHSC構造は、HMA失敗後の二次治療の指針となる予測マーカー候補であることが明らかになった。これらの知見は、MDSの臨床での新たな治療標的候補を見つけ出すために、HSC特異的な生存経路のさらなる研究を行う裏付けとなる。

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