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COVID-19:COVID-19ワクチン接種もしくはSARS-CoV-2感染に関連する心筋炎、心膜炎、心不整脈のリスク

Nature Medicine 28, 2 doi: 10.1038/s41591-021-01630-0

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの試験では、心筋炎と心膜炎は有害事象として観察されなかったが、一般集団でのワクチン接種後にはこれらが疑われた症例が多数報告された。我々は、2020年12月1日から2021年8月24日までの期間に英国でCOVID-19ワクチンの接種を受けた16歳以上の人々の自己対照ケースシリーズ研究を行い、アデノウイルス(ChAdOx1;n = 20,615,911)もしくはメッセンジャーRNA(BNT162b2;n = 16,993,389、mRNA-1273;n = 1,006,191)を用いたワクチンの接種、あるいは重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)陽性試験(n = 3,028,867)の1~28日後の心筋炎、心膜炎、心不整脈による入院あるいは死亡について調査した。ChAdOx1ワクチンとBNT162b2ワクチンの初回接種と、mRNA-1273ワクチンの初回および2回目接種をしてから1~28日の接種後期間以降、またSARS-CoV-2陽性試験に関連して、心筋炎のリスクが上昇することが分かった。そして、ワクチンを接種した百万人当たり、この他にChAdOx1では2例(95% confidence interval(CI)0、3)、BNT162b2では1例(95%CI 0、2)、mRNA-1273ワクチンでは6例(95%CI 2、8)の心筋炎事象が初回投与後の28日間に起こっており、さらにmRNA-1273の2回目接種後の28日間にはワクチン接種された百万人当たり、この他に10例(95%CI 7、11)の心筋炎事象が生じると推定された。これに対してSARS-CoV-2陽性試験後の28日間での患者百万人当たりの心筋炎事象は、この他に40例(95%CI 38、41)だった。また、陽性SARS-CoV-2検査後には心膜炎や心不整脈のリスクが上昇することが観察された。同じような関連は、mRNA-1273の2回目接種後の不整脈のリスク上昇を別にすれば、いずれのCOVID-19ワクチンでも観察されなかった。年齢別のサブグループの解析では、2種類のmRNAワクチンに関連する心筋炎のリスク上昇は、40歳未満の被検者にのみ存在することが示された。

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