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がん治療:抗原密度の低い腫瘍を標的とするHLA非依存性T細胞受容体

Nature Medicine 28, 2 doi: 10.1038/s41591-021-01621-1

キメラ抗原受容体(CAR)は、強力な免疫応答を誘導する抗原に対する受容体である。標的抗原の発現の低さと関連した腫瘍回避は、CARの有効性の制限因子候補の1つであることが明らかになりつつある。今回我々は、ヒト末梢血T細胞のTRAC座位を編集し、対応するCARと同じ免疫グロブリン重鎖と軽鎖を用いるように再構成されたT細胞受容体–CD3複合体を介して細胞表面の標的に結合させた。これらのHLA非依存的T細胞受容体(HIT受容体)は一貫して高い抗原感受性を示し、これまでで最も感受性の高い設計であるCD28ベースのCARの提供可能範囲を超えて腫瘍の認識を仲介することが分かった。また、HIT T細胞の機能的持続性は、CD80と4-1BBLの構成的共発現によって増強できることも明らかになった。我々はさらに、B細胞性白血病や急性骨髄性白血病の異種移植片マウスモデルで、それぞれCD19とCD70を標的とするHIT受容体が示す抗原感受性の上昇を検証した。まとめると、HIT受容体は、存在量の少ない細胞表面抗原を標的とするのに適した性質を持つといえる。

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