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肺がん:切除可能な非小細胞肺がんでのアテゾリズマブによるネオアジュバント療法 ─ 非盲検単群第II相試験

Nature Medicine 28, 10 doi: 10.1038/s41591-022-01962-5

現在進行中の非盲検単群第II相試験(NCT02927301)では、未治療の切除可能なステージIBからIIIBの非小細胞肺がん患者181人が、ネオアジュバントのアテゾリズマブを2回投与する単剤療法を受けた。主要評価項目は、EGFRALKに変化がない切除腫瘍での主要病理学的奏効(MPR、残存悪性細胞が10%以下)だった。主要評価項目の解析を行った143人の患者では、MPRは20%(95%信頼区間、14–28%)だった。3年という最短の追跡期間で、3年生存率が80%だった結果は希望が持てるものだった。ネオアジュバント療法中の最もありふれた有害事象は、倦怠感(39%、181人中71人)と処置痛(29%、181人中53人)であり、予測された免疫関連毒性を伴っていたが、予想外の安全性シグナルは見られなかった。探索的解析では、未治療の末梢血免疫表現型を用いて、14の免疫細胞サブセットに基づきMPRを予測した。MPRを予測可能な末梢血中免疫細胞サブセットは腫瘍微小環境中でも見つかり、これらはMPRと関連していた。切除可能な非小細胞肺がん患者の大規模コホートでのアテゾリズマブのネオアジュバント療法を検討した今回の研究では安全が確認され、MPRが15%以上という主要評価項目を満たした。今回の単群非無作為化試験からのデータは、未治療の末梢血中の自然免疫細胞のプロファイルがアテゾリズマブのネオアジュバント療法後の病理学的奏効を予測し得ることを示唆しているが、これらのプロファイルが患者の選択と新たな治療法に有用な情報となるかどうかを明らかにするには、さらなる研究が必要である。

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