Editorial

健康を気候活動の中心に置く

Nature Medicine 28, 1 doi: 10.1038/s41591-021-01658-2

第26回国連気候変動枠組条約(COP26)で採択された「グラスゴー気候協定」では、気温上昇を1.5℃に抑えるという各国の決意が示された。だが、気温上昇と異常気象については、それが社会・経済・環境に及ぼす脅威だけでなく、人間の健康と福祉が被ると予想される壊滅的な影響についても対処しなければ、地球の未来は重大な危機にさらされるだろう。気候変動が健康や公平性に及ぼすリスクは多面的で、とりわけ貧しく立場の弱い人々を脅かす。気候変動への取り組みは、人間の健康と不平等の解消の両方にとって有益だが、具体的な行動の指針は依然として定まっていない。とはいえ、国レベルや地域固有の実践的なイニシアチブは報告されている。また、政府機関で働くコミュニケーションの専門家を訓練し、支援の届いていない人々に直接手を差し伸べる草の根レベルの活動も重要だ。地球と人間の健康は本質的に絡み合っており、健康中心の気候変動対策は、地球と人類に必ずや良い結果をもたらすだろう。

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