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COVID-19:パンデミック初年度に英国で生じたSARS-CoV-2感染後の小児および若年者の死亡

Nature Medicine 28, 1 doi: 10.1038/s41591-021-01578-1

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染は、小児および若年者(CYP;18歳未満)で致死的となることはまれである。しかし、CYPはSARS-CoV-2に感染しても無症状か症状が軽微であることが多いため、死亡リスクの定量化は難しい。SARS-CoV-2感染の結果として死亡したCYPと他の原因で死亡したが、このウイルスに偶然感染していたCYPを区別するために、我々は2020年3月から2021年2月までのSARS-CoV-2検査陽性のCYP死亡例の全てを臨床的に精査した。優勢だったSARS-CoV-2変異株は、野生株とアルファ株であった。本論文では、英国在住の1202万3568人のCYPのうち、3105人が死亡し、その中にはSARS-CoV-2陽性者が61人含まれていたことを示す。これらの死亡者のうち、25人がSARS-CoV-2感染による死亡であり(死亡率は100万人当たり2人)、そのうちの22人は新型コロナウイルス感染症(COVID-19;SARS-CoV-2感染に関連する臨床疾患)によるものであり、3人はSARS-CoV-2に一時的に関連する小児多系統炎症性症候群によるものであった。全体で、SARS-CoV-2検査陽性のCYPの99.995%が生き延びた。10歳以上のCYP、アジア系や黒人という民族的背景、併存疾患は、他のCYP死亡と比べるとSARS-CoV-2関連死では大きな割合を占めていた。これらの結果は、子どもの感染からの保護やワクチン接種に関する決定を導くのに重要である。新たな変異株は死亡リスクが異なる可能性があり、同様の方法で評価を行うべきであろう。

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