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CAR T細胞:抗原非依存的な活性化は4-1BBで共刺激したCD22 CAR T細胞の有効性を増強する

Nature Medicine 27, 5 doi: 10.1038/s41591-021-01326-5

CD19指向CAR(chimeric antigen receptor)T細胞は、B細胞性急性リンパ芽球性白血病(ALL)患者の寛解を誘導するが、大きなサブセットでCD19陰性白血病が再発する。CD22は、CD19と同様に、B系譜細胞によって広く発現されており、従ってALLでの免疫治療のもう1つの標的となる。本論文では、再発したALLもしくは難治性ALLの患者で行った、4-1BBを組み入れCD22を標的とするCAR T細胞の2つのパイロット臨床試験(NCT02588456とNCT02650414)の複合転帰を示す。これらの研究の主要評価項目は安全性評価であり、副次的評価項目は抗白血病効果であった。予想外に低い奏効率が観察されたことで、原因となるCARの生物学的性質が詳細に調べられた。CAR抗原結合ドメインの可変領域の重鎖と軽鎖を連結するアミノ酸リンカーを短くすると、受容体のホモ二量体化や抗原非依存的なシグナル伝達が促進されることが分かった。CD28を組み入れたCARとは対照的に、4-1BBを組み入れて自律的にシグナル伝達を行うCARでは、免疫シナプス形成の増強、炎症誘発性遺伝子の活性化、優れたエフェクター機能の増強が見られた。我々は、複数のCAR構築体で、自律的なシグナル伝達と機能増強の関連性を検証し、これらの観察結果に基づいて、臨床での評価のために短いリンカーを持つ新しいCD22単鎖可変フラグメントを設計した。我々の得た知見は、4-1BBによる持続的なシグナル伝達がCAR機能に有益であることを示唆しており、また、臨床から基礎研究へ戻り、さらにもう一度臨床へというトランスレーションが、CAR T細胞療法の設計や実施に有用であることも明らかにしている。

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