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新興ウイルス感染症:中国でヒト熱性疾患に関連付けられた新しいオルソナイロウイルスの特定

Nature Medicine 27, 3 doi: 10.1038/s41591-020-01228-y

オルソナイロウイルス属(Orthonairovirus)はナイロウイルス科(Nairoviridae)に属し、このウイルス属には、ダニによって媒介される重要な病原体であるクリミア・コンゴ出血熱ウイルスやナイロビ羊病ウイルスの他、ダニ、鳥類、哺乳類に見られ、性質がほとんど明らかになっていない多くのウイルスが含まれる。我々は今回、中国北東部の黒竜江省でダニに刺されたことが報告された複数の患者で、新規なオルソナイロウイルスであるSGLV(Songling virus)を特定したことを報告する。SGLVは、ゲノムの特徴や形態学的特徴がオルソナイロウイルスと共通しており、系統発生学的にはナイロウイルス科のTamdy orthonairovirus内で固有のクレードを形成した。単離されたSGLVはin vitroで、ヒト肝がん細胞に細胞変性効果を誘導した。SGLV感染は、2017〜2018年に調べられた42人の入院患者で確認され、主な臨床症状は、頭痛、発熱、うつ、倦怠感、めまいであった。患者の3分の2以上(69%)で急性期にウイルス特異的抗体応答が生じた。まとめると、これらの結果から、新たに発見されたこのオルソナイロウイルスは中国でのヒトの熱性疾患に関連していると考えられる。

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