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医学で機械学習が(ほんとうに!)役に立っている8つの事例

Nature Medicine 27, 1 doi: 10.1038/s41591-020-01197-2

医療分野での機械学習の使用については、かなり誇張された話が広まっている。実際のところ、機械学習は基礎と臨床をつなぐ研究者や臨床医たちの仕事を、どのように、またどの程度助けているのだろうか。

研究室では、計算論的方法は臨床研究の複数の重要な分野で広く使われており、AIを使う方法は今後さらなる応用が増えるだろう。機械学習システムはまだそんなに広く使われているわけではないが、ビッグデータの重要性を知らせるなど、臨床研究ではすでに影響を及ぼしている。「疾患の原因となる機構の再構築」や、非常に困難とされてきた「さまざまな仮説の結果の予想と検討」、また臨床試験を行う際に成功のカギを握るといわれる「患者の医療記録を調べて、条件に合う患者を見つけ出す」という作業、そして機械学習に最も期待されている「ビッグデータの利用」の4つは、機械学習の得意技であり、すでにかなりの成果が上がっている。

一方、臨床では、機械学習は非常に有望と考えられているが、概念実証を目指す研究と現場でのこの方法の使用の間にはまだ大きなギャップがあるようだ。医療現場で機械学習が力を発揮しているのは、画像解析のパワーアップによる「診断法の開発」やがん分野での「予後予測の改善」であり、アップルウオッチのようなデバイスを使う「発症前の患者のモニタリングや集められたデータの解析によるケアの改善」への応用も期待されている。しかし、機械学習が最もよく使われているのは、計算論科学、生物学、それに医学の専門家などの「学際的な協力」による研究であり、マルチモーダルデータのボリュームが増えるにつれて、臨床医学への機械学習の影響も大きくなってきている。

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