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アルツハイマー病:アルツハイマー病の脳と脳脊髄液の大規模プロテオーム解析から明らかになった、ミクログリアとアストロサイトの活性化に関わるエネルギー代謝の初期変化

Nature Medicine 26, 5 doi: 10.1038/s41591-020-0815-6

アルツハイマー病(AD)の病態生理学に関する我々の理解はまだ不完全である。今回我々は、定量的質量分析法と共発現ネットワーク解析を用いて、ADに対するこれまでで最大のプロテオーム研究を行った。その結果、AD病理や認知機能障害と最も重要な関連を示すモジュールの1つとして、糖代謝と結び付いたタンパク質ネットワークが明らかになった。このモジュールには、ADの遺伝学的リスク因子や、抗炎症状態に関連するミクログリアやアストロサイトのタンパク質マーカーが多く含まれており、このモジュールの生物学的機能は、ADに対する保護的な役割であることが示唆された。このモジュール由来のタンパク質はADの初期段階に脳脊髄液中で増加していた。2000以上の脳と約400の脳脊髄液試料に対する今回の定量プロテオミクス研究により、AD脳のタンパク質と進行している生物学的過程が明らかになり、これらはADでの治療標的や液体バイオマーカーとなる可能性がある。

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