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腸内微生物相:子宮内で起こるヒト腸管への生菌の定着は大きく制限されている

Nature Medicine 26, 4 doi: 10.1038/s41591-020-0761-3

ヒト胎児腸管では粘膜免疫系が妊娠11〜14週までに発達するが、子宮内の生菌の有無やそのような生菌と腸管免疫系との相互作用については明らかになっていない。細菌様の形態が、妊娠中期のヒト胎児胎便のポケット状部分で走査型電子顕微鏡によって見つかっていて(n = 4)、16S rRNA塩基配列解読により、環境中の対照(n=87)と比べるとまばらな細菌シグナルが検出された(n = 50のうちの40)。胎児胎便中には18の細菌分類群が豊富に存在し、最も多かったのはミクロコッカス科(Micrococcaceae;n = 9)およびラクトバチルス(Lactobacillusn = 6)だった。ミクロコッカス科細菌が優占的な胎児腸管は、T細胞の構成や上皮細胞での転写のパターンが他と異なっていた。胎児のMicrococcus luteus)は単球が存在する場合にだけ分離され、胎盤ホルモンに依存して増殖し、抗原提示細胞内でも生存可能であり、ex vivoで炎症を抑え、胎児中での生存と結び付いたゲノム特性を持っていた。このように、妊娠中期の胎児腸管中の生菌は極めて限られているが、一部の検体からは免疫調節能を示す菌株が検出された。

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