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がん免疫療法:転移性黒色腫患者での免疫チェックポイント阻害に対する持続的応答に関連する末梢CD8+ T細胞の特徴

Nature Medicine 26, 2 doi: 10.1038/s41591-019-0734-6

転移性黒色腫(MM)の治療のために行われるPD-1およびCTLA-4による免疫チェックポイント阻害(ICB)の効果には、ばらつきが見られる。これについて末梢サンプルを使って調べるために、我々は抗PD-1の単独投与(sICB)、もしくは抗CTLA-4との併用投与(cICB)を受けているMM患者のコホート全員に対してCD8+ T細胞の遺伝子発現の特徴を調べた。sICBおよびcICBに対するCD8+の転写応答には共通する遺伝子セットが含まれる一方で、cICBに対する応答の大きさは4倍以上となり、有糸分裂関連遺伝子群およびインターフェロン関連遺伝子群の選択的誘導を伴っていた。持続的な臨床的効果が見られる患者から早期に得られたサンプルでは、T細胞受容体をコードする遺伝子群の過剰発現が認められた。T細胞受容体のクローン性をマッピングすることによって、奏功が見られる患者は非奏功患者もしくは対照に比べると、治療後により大きなクローン(レパートリーの > 0.5%を占める)群を持ち、これがエフェクター記憶T細胞の割合と相関することが分かった。8つの治療後サンプルの単一細胞RNA塩基配列解読によって、大きなクローンがCCL4GNLYNKG7などの、細胞傷害性でエフェクター記憶T細胞の特徴である遺伝子群を過剰発現することが実証された。MM患者のICBに対する6か月臨床応答は、投与開始後21日目に測定された大きなCD8+ T細胞クローンの数と関連していて、クローンの特異性には依存しなかったことから、ICB後の末梢CD8+のクローン性は長期的な治療応答性に関する情報を提供でき、治療成層化を促進するのではないかと考えられる。

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