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患者と研究者の団結によって変えられていく希少疾患研究

Nature Medicine 26, 10 doi: 10.1038/s41591-020-1098-7

希少疾患の患者は数が少ないために、患者同士の情報交換や協力を行いにくい。またこうした疾患の研究は、患者情報の集約が難しいことで進展が長らく妨げられてきた。しかし、ソーシャルメディアの時代となった今、患者と研究者が連携して、互いの経験を生かすことが容易になり、事態は望ましい方向へと変化しつつある。患者やその家族はコミュニティーを作って支援活動を行い、研究者や臨床医も加わったネットワークが生まれている。さらに、患者が運営主体となり、患者の医療・健康情報を患者自らが登録するようなレジストリも構築され、優先すべき研究を決め、研究を支援するファンドが立ち上げられるようになってきた。患者の視点から作られたこのような新しい組織は、患者は情報を提供し、研究成果を受け取るだけという従来のものとは全く異なっている。患者は対等なパートナーとして研究者と協力し、研究のデザインと実行にも加わる。実際に、患者コミュニティーが臨床試験の成功に重要な役割を果たした例もすでに知られている。希少疾患研究への当事者関与を進めるこの新しい仕組みには、患者と研究者の双方から大きな期待がかけられている。

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