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骨異形成症:ヒト骨異形成症でのマイクロRNA-140の機能獲得型変異

Nature Medicine 25, 4 doi: 10.1038/s41591-019-0353-2

マイクロRNA(miRNA)は、遺伝子発現の転写後調節因子である。miRNA遺伝子のヘテロ接合性機能喪失型点変異は、複数のヒト先天性疾患と関連付けられているが、塩基置換によるmiRNAのネオモルフ(新規機能獲得型)変異についてはこれまでに報告がない。今回我々は、新たな常染色体優性ヒト骨異形成症で見られた、マイクロRNA-140(miR-140)をコードする軟骨細胞特異的なスーパーエンハンサー関連MIR140遺伝子のシード領域のネオモルフ変異について報告する。これに相当する一塩基置換を導入したマウスでは、骨異形成症患者と類似しているが、miR-140ヌルマウスの表現型とは異なる骨異常が認められた。この変異型miRNA遺伝子は、miRNAのプロセシングには異常がなく、変異型miR-140-5pを大量に発現した。軟骨細胞では、この変異は野生型miR-140-5pの標的の広範な抑制解除と変異型miR-140-5pの標的の抑制を引き起こし、この変異は機能喪失型と機能獲得型の両方の影響をもたらすことが示された。さらに、この変異型miR-140-5pのシード配列は、保存されたRNA結合タンパク質Ybx1と重複する結合部位において競合する。この知見は、保存されたmiRNAが持つ強力な調節作用の一因となるmiRNAと標的RNAの相互作用の進化的選択がないにもかかわらず、この変異型miRNAが標的に対する強力な抑制とin vivoでの強い作用を示すことを説明する可能性がある。我々の研究は、病気の原因となる機能獲得型miRNA変異の最初の例を示すとともに、新規なmiRNAや変異型のmiRNAが持つネオモルフ作用について分子レベルでの知見をもたらすものだ。

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