Review Article

がん治療:マイクロバイオーム、がん、がん治療

Nature Medicine 25, 3 doi: 10.1038/s41591-019-0377-7

腫瘍や宿主のゲノム、さらには生体内に存在する非常に多くの微生物のゲノムを対象とする研究手法は、次世代塩基配列解読法の登場によって大幅にパワーアップした。このような微生物については、一部のがんに対する感受性を宿主に付与したり、治療応答に影響を及ぼしたりすることを示す証拠が得られている。その重要な例は免疫療法に関するもので、腸内微生物が治療応答に影響を及ぼしていることが前臨床モデルや患者コホートで示唆されているが、このような微生物は、別の治療法への応答にも同様に影響を及ぼしたり、治療に関連する毒性に作用したりしている可能性がある。こうした影響を考慮して、がんなどの疾患の治療でこの種の微生物を標的とすることに関心が高まっている。しかし、この問題は複雑であり、このような治療法の効能をフルに使えるようにするには、宿主と微生物の間の相互作用の解明をさらに進めることが不可欠である。本総説では、このような考え方とこうした知見を臨床で使えるようにするための手段について論じる。

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