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心血管系炎症:運動は造血前駆細胞への指示を介して炎症細胞産生と心血管系炎症を低減する

Nature Medicine 25, 11 doi: 10.1038/s41591-019-0633-x

あまり体を動かさない生活様式、慢性炎症や白血球増加症は、アテローム性動脈硬化を増加させる。だが、定期的な運動が白血球産生に影響するかどうかは明らかになっていない。今回我々は、マウスでは自発的なランニングが造血活性を低下させることを示す。運動は、アテローム性動脈硬化症のマウスとヒトを慢性的な白血球増加から保護するが、マウスでの緊急時造血には影響しない。機序としては、運動は脂肪組織でのレプチン産生を低下させ、レプチン受容体陽性の間質骨髄ストロマ細胞で静止状態促進造血ニッチ因子群を増強する。Prrx1-creERT2;Leprfl/flマウスでレプチン受容体の欠損を誘導すると、骨髄ニッチ細胞へのレプチンの影響が、造血幹・前駆細胞(HSPC)の増殖と白血球産生に加えて、心血管系炎症および転帰を調節することが明らかになった。ランニング用回し車の撤去が速やかにレプチンレベルを逆転させるのに対して、白血球産生およびHSPCのエピゲノムとトランスクリプトームへの運動の影響は数週間持続する。まとめると、これらのデータは、運動がニッチの調節を介してHSPCを変化させ、炎症性白血球の造血出力を減らすことを示している。

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