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筋疾患:繊維芽細胞増殖因子19はマウスで骨格筋量を調節し、筋消耗を軽減する

Nature Medicine 23, 8 doi: 10.1038/nm.4363

内分泌由来ホルモンの繊維芽細胞増殖因子(FGF)19は最近、代謝性疾患治療の有力な標的として浮上してきた。骨格筋は重要な代謝器官であることから、我々はFGF19の骨格筋での役割を調べた。本論文では、筋繊維のサイズ拡大を介した骨格筋量の調節と、筋萎縮からの保護にFGF19が果たすこれまで知られていなかった機能について報告する。FGF19の投与はマウスで骨格筋の肥大を引き起こし、FGF19の生理学的および薬理学的用量はin vitroでヒト筋管のサイズを大幅に増大させた。このような影響は、近縁の内分泌型FGFメンバーであるFGF21では誘発されなかった。FGF19は、in vitroin vivoの両方で、ERK(extracellular-signal-regulated protein kinase)1/2と筋細胞増殖のmTOR依存性マスター調節因子であるリボソームタンパク質S6キナーゼ(S6K1)のリン酸化を亢進した。さらに、FGF15/19に対する必須の共受容体であるβ-Klotho遺伝子(KLB)を骨格筋特異的に欠失させたマウスは、FGF19の筋量を増大させる作用に応答しなかった。またマウスでは、FGF19がグルココルチコイド投与や肥満により引き起こされる骨格筋萎縮に加えて、サルコペニアも改善した。統合すると、以上の結果は、エンテロカインFGF19が骨格筋量を調節する新規因子であり、筋消耗性疾患の治療に使える可能性があることを実証している。

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