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ワクチン:昆虫特異的なウイルスプラットフォームを利用したチクングニア熱ワクチン

Nature Medicine 23, 2 doi: 10.1038/nm.4253

ワクチン開発はずっと、免疫原性と安全性のトレードオフという問題を抱えてきた。弱毒性ワクチンは通常、迅速かつ持続的な免疫を誘導するが、不活化ワクチンと比較すると安全性は低い。これに対して、不活化ワクチンは複製能力がないため、安全性は高まるものの、免疫原性は減弱し、複数回の投与とブースターが必要となることが多い。このようなトレードオフを克服すべく、我々は昆虫特異的なアルファウイルスであるEilatウイルス(EILV)をワクチンのプラットファームとして開発した。チクングニア熱(CHIKF)の世界的流行に対処するために、我々はEILVのcDNAクローンを用いてチクングニアウイルス(CHIKV)の構造タンパク質を含むキメラウイルスを設計した。組換えEILV/CHIKVは単粒子低温電子顕微鏡を使った分解能10Åでの観察では野生型CHIKVと構造的に同一であることが明らかとなり、また脊椎動物細胞での接着・侵入からウイルスRNAの送達まで、CHIKV複製の初期段階を模倣することが分かった。しかし、組換えウイルスは増殖性の複製能を完全に欠損していて、安全性は高かった。2種類のマウスモデルでは、蚊の細胞で産生されたEILV/CHIKVの単回投与により迅速(4日以内)に生じ、長期にわたって(290日を超えて)持続する中和抗体が誘導され、感染が完全に防御された。非ヒト霊長類では、EILV/CHIKVは迅速かつロバストな免疫を誘導し、ウイルス血症や発熱(遠隔計測によってモニター)は防止された。我々のEILVプラットフォームは、昆虫特異的なウイルスの本来のままの構造を前臨床ワクチン開発に応用した最初の例であり、このようなウイルスがワクチン学研究に応用できる可能性を明確に示している。

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