Article

精神神経疾患:側頭葉てんかんでは発作間てんかん型放電が海馬−皮質間の連結を誘導する

Nature Medicine 22, 6 doi: 10.1038/nm.4084

海馬と皮質間の相互作用は、記憶に極めて重要である。発作間てんかん型放電(IED)はてんかん発作の起こる脳領域と関係していて、記憶を障害することがあるが、それがネットワーク活性の生理的パターンと相互作用する機序はほとんど分かっていない。我々は側頭葉てんかんのラットモデルを使い、自発性海馬IEDが記憶固定の障害と関連すること、また非急速眼球運動(NREM)睡眠中の前頭前皮質での紡錘波オシレーションと正確に調和していることを示す。この調和は正常で生理的なリップル波−紡錘波連動より強く、リップル波発生頻度の低下を伴う。IEDはまた、皮質の「ダウン」状態を作ることにより、急速眼球運動(REM)睡眠中に、また自然状態では紡錘波オシレーションが起こらない行動状態である覚醒状態中に、紡錘波を誘導する。巣状てんかんを有する4人の被験者によるパイロット臨床試験で、側頭前頭葉のIEDが解剖学的に限定された皮質領域で紡錘波と関連することが確認された。以上の知見は、IEDが海馬−皮質連動の生理的機構を流用することにより記憶を障害する可能性を示しており、てんかんでの記憶障害の治療標的を示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度