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がん:Notchシグナル伝達とDDR1の同時阻害は、KRAS変異によって進行する肺腺がんの治療法となる

Nature Medicine 22, 3 doi: 10.1038/nm.4041

KRAS(Kirsten rat sarcoma viral oncogene homolog)に変異が生じている肺腺がん患者では、有効な標的療法が現在まだないため、標準的な化学療法が治療に使われている。我々は、マウスの初期の肺過形成でKrasシグナル伝達の仲介因子を突き止めれば、進行性腫瘍で見られる腫瘍内不均一性に起因する治療上の難問を回避でき、また、適切な治療標的が明らかになるのではないかと考えた。KrasG12Vにより発症したマウス肺過形成の転写プロファイリングによって腫瘍間多様性が明らかになり、ヒトの進行性腺がんと似た侵襲性の転写プロファイルを示すサブセットが見つかった。このプロファイリングでトップスコアとなった遺伝子は、チロシンキナーゼ受容体DDR1をコードしている。DDR1を遺伝的または薬理的に阻害すると、腫瘍のイニシエーションとプログレッションがそれぞれ遮断された。DDR1とNotchシグナル伝達の両方を同時に阻害した場合にはKRAS抑制が誘導され、TP53に変異が生じている患者由来の肺異種移植片(PDX)での治療効果は標準的な化学療法と少なくとも同等程度であった。今回の結果は、DDR1とNotchシグナル伝達の同時阻害が、KRAS変異型肺腺がん患者に対する有効な標的治療となる可能性を示している。

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