Letter

免疫:新生児の腸内細菌相は小児期の多重抗原感作性のアトピーおよびT細胞分化と関連する

Nature Medicine 22, 10 doi: 10.1038/nm.4176

生後3か月時点での腸内細菌相中細菌数の減少や代謝活性の変化は小児のアトピーや喘息と関わりがある。我々は、構成の異なるヒト新生児腸内細菌相(NGM)が、これらが小児期のアトピーや喘息の相対的リスク(relative risk:RR)とそれぞれ特異的に関連するのではないかと考えた。米国の出生コホート由来の便検体(生後1〜11か月、n=298人)と16S rRNAの塩基配列解読結果を用いて、新生児(中央値日齢が35日)を細菌相の構成状態(NGM1-3)によって3つに分類できた。これら3つのグループは、2歳時での多重抗原感作性のアトピーおよび4歳時での医師によって診断される喘息に対して、かなり異なるRRを示した。NGM3と名付けた最も高リスクのグループはBifidobacteriumAkkermansiaFaecalibacteriumのような特定の細菌の存在数が相対的に少なく、特定の真菌(CandidaRhodotorula)の存在数が相対的に多く、さらに糞便メタボロームも異なっていて、炎症誘導性の代謝物が多量に含まれていた。ヒト成人の末梢血T細胞をNGM3グループの被験者から採取された殺菌した糞便水溶成分と共にex vivo培養すると、インターロイキン4(IL-4)を産生するCD4+細胞の割合が増加し、CD4+CD25+FOXP3+細胞の相対的な割合が減少した。12,13-DiHOMEは、NGM3と危険性のより低いNGMとを比べると、NGM3の方で濃度が高く、NGM3グループの便水溶成分のCD4+CD25+FOXP3+細胞の相対的存在数への影響を再現した。これらの知見は、新生児の腸内マイクロバイオームのディスバイオシス(腸内細菌相構成異常)が、小児アトピーに関連するCD4+ T細胞の機能不全を促進する可能性を示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度