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代謝調節:ニコチンアミド-N-メチルトランスフェラーゼはSirt1タンパク質の安定化を介して肝臓での栄養代謝を調節する

Nature Medicine 21, 8 doi: 10.1038/nm.3882

ニコチンアミド-N-メチルトランスフェラーゼ(Nnmt)は、ビタミンB3の一種であるニコチンアミドをメチル化してN1-メチルニコチンアミド(MNAM)とする。Nnmtが脂肪細胞の代謝調節因子であることはすでに明らかになっているが、Nnmtの発現が最も強い肝臓でのその役割は明らかになっていない。マウスおよびヒトでは、Nnmtの肝臓での発現は全体的には高いものの、発現には大きなばらつきが見られ、またそれが複数の代謝パラメーターと相関していることが分かった。さらに、in vivoで肝臓のNnmt発現を抑制するとグルコース代謝およびコレステロール代謝が変化し、肝臓におけるNnmtの代謝への影響はその産物であるMNAMによって仲介されることが見いだされた。高脂肪食にMNAMを追加して与えると、マウスの血清および肝臓のコレステロールレベルと肝臓のトリグリセリドレベルが低下した。作用機序としては、Nnmtの発現増大もしくはMNAM量の増大によってサーチュイン1タンパク質が安定化され、これが代謝的に有益な影響に必要であると分かった。まとめるとこの結果は、ビタミンB3が関わる新規な調節経路を明らかにしており、これは代謝疾患治療に新しい道を開く可能性がある。

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