Review

常在記憶T細胞の防御免疫と炎症性疾患における新たな役割

Nature Medicine 21, 7 doi: 10.1038/nm.3883

この10年ほどの間に、組織に常在する重要な記憶T細胞サブセット、つまり組織常在性記憶T(TRM)細胞の存在が明らかになった。TRM細胞は、ヒトの組織特異的免疫および炎症性疾患に役割を担っていることも分かってきている。また、組織内でTRM細胞を維持する分子シグナルの実体が何であるかについては、多数の研究が行われている。TRMが環境との接触面で障壁となる組織に局在するのは理にかなっているが、この細胞はヒトやマウスで脳、腎臓、関節などの非障壁組織にも認められる。TRM細胞のこのような性質と挙動を考えれば、この細胞は障壁および非障壁組織の両方の慢性的な再発寛解型疾患に役割を担っている可能性が高い。本総説では、TRM細胞の生物学性質に対する最近得られた知見について、特にTRM細胞の疾患に担う役割を取り上げ、明らかにされたものに加えて、推定中のものについても論じる。

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